文書作成日:2024/07/18
骨太の方針2024に見る今後の医療行政

 今年も「経済財政運営と行政改革の基本方針」(骨太の方針)が発表されました。ここでは今回発表された2024年度版のうち医療分野に関する内容を、昨年度(2023年度版)の骨太の方針と比較してみたいと思います。

 以下に、要点をピックアップしてご案内します。おおむね、昨年度の内容を踏襲した内容となっています。赤字の箇所が、今年度の方針で追加・具体化された点となります。


医療従事者の処遇改善:

医療・福祉分野等におけるきめ細かい賃上げ支援や最低賃金引き上げ。
医療・介護・障害福祉サービスについては、2024年度診療報酬改定で導入されたベースアップ評価料等の仕組みを活用した賃上げを実現するため、賃上げの状況等について実態を把握しつつ、賃上げに向けた要請を継続するなど、持続的な賃上げに向けた取組を進める。

DX:

「医療DXの推進に関する工程表」に基づき、「全国医療情報プラットフォーム」を構築するほか、電子カルテの導入や電子カルテ情報の標準化、診療報酬改定DX、PHRの整備・普及を強力に進める。
次の感染症危機に備え、予防接種事務のデジタル化による効率化を図るとともに、ワクチン副反応疑い報告の電子報告を促し、予防接種データベースを整備する等、更なるデジタル化を進める。
AIホスピタルの社会実装を推進するとともに、医療機関等におけるサイバーセキュリティ対策を着実に実施する。電子処方箋について、更なる全国的な普及拡大を図る。

医療サービスの提供体制:

医療・介護DXの政府を挙げての強力な推進、ロボット・デジタル技術やICT・オンライン診療の活用、タスクシフト/シェア、医療の機能分化と連携など地域の実情に応じ、多様な政策を連携。
かかりつけ医機能が発揮される制度整備、地域医療連携推進法人・社会福祉連携推進法人の活用、救急医療体制の確保、持続可能なドクターヘリ運航の推進や、居住地によらず安全に分べんできる周産期医療の確保、都道府県のガバナンスの強化。
保有資産を含む財務情報や職種別の給与に係る情報などの経営状況の見える化を推進。
地域医療構想の対象範囲について、かかりつけ医機能や在宅医療、医療・介護連携、人材確保等を含めた地域の医療提供体制全体に拡大。
2026年度の医学部定員の上限については2024年度の医学部定員を超えない範囲で設定。

リハ・栄養・口腔:

全身の健康と口腔の健康に関する科学的根拠の活用と国民への適切な情報提供、国民皆歯科健診に向けた具体的な取組の推進、オーラルフレイル対策・疾病の重症化予防につながる歯科専門職による口腔健康管理の充実、歯科医療機関・医歯薬連携を始めとする多職種間の連携、歯科衛生士・歯科技工士等の人材確保の必要性を踏まえた対応、歯科領域におけるICTの活用の推進、各分野等における歯科医師の適切な配置の推進により、歯科保健医療提供体制の構築と強化に取り組むとともに、有効性・安全性が認められた新技術・新材料の保険導入を推進。

予防・重症化予防・健康づくり:

エビデンスに基づく科学的介護を推進し、医療と介護の間で適切なケアサイクルの確立を図る。また、ウェアラブルデバイスに記録されるライフログデータ(睡眠・歩数等)を含むPHRについて、医療や介護との連携も視野に活用を図るとともに、民間団体による健康づくりサービスの「質の見える化」を推進。


 次回は福祉分野について、要点をまとめたいと思います。

[参考]
 内閣府「経済財政運営と改革の基本方針2024

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